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デンタルコラム

保険の基礎

保険診療とは何か
院長 森末 裕行 先生 院長 森末 裕行 先生

東京都調布市 森末歯科医院
院長 森末 裕行 先生

経歴
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了 歯学博士

保険診療は、健康保険法、医師法、歯科医師法、療養担当規則および高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づき定められており、すべての国民が加入を義務づけられている公的な医療保険によって行われる医療のことです。

初・再診料などの基本診療料と、医学管理、処置、手術などの特掲診療料があり、それぞれ定められた点数により算定します。「1人の患者について療養の給付に要する費用は基本診療料及び特掲診療料の規定に基づき算定された点数に10円を乗じて得た額とする」と決められています。つまり、保険点数1点は10円に当たります。

以下に保険診療を行ううえで知っておきたい基本的な事項をまとめましたので、ご覧ください。

1.保険診療を行う条件

診療所の所在地を管轄する地方厚生(支)局から保険医療機関の指定を受けた医療機関で行い、保険診療を行うには地方厚生(支)局に保険医として登録された歯科医師が行わなければならない。

2.保険医療機関の主な責務

保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく診療録(カルテ)に必要事項を記載し、個別の費用ごとに区分して記載された領収書と算定の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付するなどの決まりがある。診療録は5年間、その他の書類等は3年間の保存義務も定められている。

3.保険者と被保険者

資格の確認、保険料の徴収、保険診療に対する給付を行う機関を保険者といい、保険者に一定の保険料を納め、医療給付を受ける者を被保険者という。保険者は被保険者とその扶養家族に対し被保険者証(一般的には保険証という)を発行し、医療機関はその被保険者証を確認することで保険診療を行うことができる。

4.保険診療の内容

療養担当規則より保険診療の内容は、診察、薬剤または治療材料の支給、処置や手術等の治療、居宅および入院における療養上の管理、世話、看護等と定められている。

5.診療報酬の請求と一部負担金の徴収

保険医療機関は保険診療を行った場合、診療報酬点数表で決められた診療行為の点数に従い金額を算出し、患者から一部負担金を徴収する。一部負担金の額は、基本は診療行為にかかった医療費の3割であるが、高齢者や適用される制度等により2割、1割、0割、定額負担になることがある。一部負担金が10円未満の半端な額となる場合は、四捨五入により10円単位で徴収する。患者からの一部負担金を引いた残りの金額は、1か月単位で診療報酬明細書(レセプト)にまとめ、被保険者証の種別により、市区町村および国保組合の国民健康保険、後期高齢者医療制度分は国民健康保険団体連合会に請求し、中小企業等の全国健康保険協会、官公庁等の共済組合、企業等各種健康保険組合、生活保護等の公費分は社会保険診療報酬支払基金に請求する(下図参照)

診療報酬請求の流れ

いかがでしたか。学生の皆さんには、まだなじみがないかもしれませんが、国家試験に合格し、実際に臨床に携わることになった場合には、すべて必要となる知識です。よく理解しておきましょう。

歯科保健請求の書籍紹介
歯科保険請求2019 表紙イメージ

書籍タイトル:歯科保険請求2019
著者:お茶の水保険診療研究会=編/東京医科歯科大学歯科同窓会社会医療部=監修
定価本体:9,000円(税別)
判型・ページ数:A4判 948ページ
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